出典:シャープ
シャープは、日本を代表する総合家電メーカーです。
家庭用の白物家電からオフィス向けコピー機まで、幅広い商品を手掛けており、日経平均株価の構成銘柄の一つとしても知られています。
一時期は「液晶テレビのシャープ」とまで呼ばれており、電機メーカーの中でも注目度の高い企業でしたが、当該事業の衰退と大規模工場(堺工場)の失敗など、戦略の失敗が立て続けに起こり、2016年以降は台湾資本の鴻海精密工業(ホンハイ)傘下へと下り、日本の大手電機メーカーとしては初の外資系企業による買収劇が繰り広げられました。
今回の記事では、シャープ製のコピー機について紹介します。
関西系電機メーカーのイメージが強いシャープですが、1912年に早川徳次が東京で創業したベルトのバックルを製造する企業が源流となっています。
その後、1915年に現在の「シャープペンシル」の原型となる金属製操出鉛筆を発明し、アメリカで爆発的なヒット商品となり、広く認知されるようになりました。
シャープの経営的特徴は、時代に必要とされている製品を臨機応変に製造・販売する点にあり、その精神は現在も引き継がれています。
コロナ禍によるマスク不足の際は、工場のラインを編成し、電機メーカーとして唯一マスク製造に乗り出しました。
このように、同社の主力製品は時代とともに変わっており、戦前は鉱石ラジオ、戦後はテレビ、高度成長期にはあらゆる家電製品を製作し、各事業におけるシェアも高めに支配するなど、特色のある経営を得意としていました。
しかし、2000年代に入ってからは経営にやや陰りが見え始め、主力製品の多くが新興国企業とバッティングする事態になりました。
特に、同社が最も注力していた液晶テレビ事業は、韓国のサムスン電子やLGなどと競合し、さらに液晶パネルから有機ELパネルへとコア技術が変遷しました。日本国内の同業他社もパネルの自社生産から撤退し、韓国企業から仕入れるなど、テレビの製造方法自体を変え始めた中、大規模な液晶パネル工場を操業させ、経営難に陥ります。
そして、2016年に多くの買収先候補(官民主導の日の丸連合)とはつながることなく、台湾系資本の鴻海(ホンハイ)の傘下企業となりました。
シャープ製のコピー機(複合機)は、上位3社(リコー、キヤノン、富士フィルム)には及ばないものの、第4位のコニカミノルタと同様、中堅シェア(シェア率:10%前後)を誇っており、品質も非常に高く評価されています。
また、大規模な小売店(コンビニ)などでの稼働に強みを持っており、現在はローソンやファミリーマートといった大手コンビニにも設置されています。
コニカミノルタと同じポジショニングでシェアを奪っているシャープは、強みも「安さ」「デザイン性」など、コニカミノルタとほぼ同じ戦略です。
総合電機メーカーならではのユーザーインターフェースを搭載しており、使い勝手も申し分ありません。大企業から中小企業まで、幅広い層で使用できる点は同社製品の強みと言えるでしょう。
一方、他社を圧倒するほどの強みがなく、あえてシャープ製品を選ぶポイントが見当たらない点は、弱みと言えます。本体価格に関しては、値引き率も高く導入しやすい価格帯ですが、ランニングコスト面では業界的に「普通」で、格安メーカーと比べるとやや高めとなっています。
現在、日本市場でのカウンター料金はモノクロ1円/枚~、カラー10円/枚~が一般的な相場となっていますが、シャープもほぼ同程度の金額です。
なお、カウンター料金は、月間の印刷ボリュームやコピー機本体の導入台数、相見積もりなど複数の要素で決定されるため、導入を検討する際は必ず相見積もりを取りましょう。
シャープ製複合機(コピー機)の導入事例は、同社のホームページ上で公開されています。
コンビニで導入されていることもあって、証明書のコンビニ交付に対応できるよう、市役所などの役所や行政機関にも強い印象です。また、同社の強みでもある「使いやすさ」に定評があり、児童福祉施設などにも導入されています。
シャープの複合機(コピー機)は、平均的なスペックながらも大規模な導入実績などが評価されており、中規模から大規模まで様々なオフィスで使用されています。
まずは、同社複合機の導入に向いている企業を2点、紹介します。
シャープの複合機は、誰でも簡単に印刷できるように、タッチパネルや表示内容などを非常に見やすく、さらに操作しやすく設計しています。
「コピー機は難しい」「機会が苦手だ」という人が多い現場でも、コンビニでコピーをする時と同様、簡単に使用することができます。
使用感などを選定基準として重きを置いている場合は、選択肢としておすすめできるメーカーです。
シャープの強みは、一般家電を含めて「シャープ製品」が多数存在することでしょう。
同社は家電やIT機器をつなげる「スマートライフ」を提唱しており、同社製品をAIoT技術で連携させるなど、「COCORO OFFICE(ココロオフィス)」を展開しています。
たとえば、オフィスに設置した複合機がFAXを受信した場合、連携しているスマートフォン宛に通知が届き、受信したFAXの内容まで確認できます。
また、複合機に限らず、WEB会議や社内サーバーなどへのセキュアな環境下で資料が閲覧できるなど、「印刷」の域を超えたサービスが受けられることが特徴です。
シャープ製品の強みが「使い勝手」や「様々なサービス」である一方、純粋に複合機(コピー機)としてみた場合は、やはり上位メーカーにはやや劣る印象です。
大量の印刷を行うオフィスや現場では、複合機の故障や障害といったダウンタイムは死活問題です。
コピー機を専業とした富士フィルム(旧・富士ゼロックス)などに比べると、コピー機自体のスペックもさることながら保守面などに若干の不安があります。
選定基準として「保守」などを挙げている場合は、注意した方が良いかもしれません。
強みとして紹介した「ココロオフィス」などは、基本的にシャープ製品を連動させるサービスです。
シャープ製品が多い(またはシャープのファン)の場合は、さまざまなメリットが生まれる一方で、コピー機だけをシャープ製品とする場合、あまりメリットが生まれません。
今回の記事では、シャープの歴史やコピー機について紹介しました。記事の内容をまとめると以下の通りです。