出典:リコー
リコーは日本を代表する光学メーカーであり、コピー機業界でもキヤノンと双璧をなす存在です。キヤノンと同様に、リコーも世界的なグローバル企業として知られ、カメラ事業もコア事業としています。
今回の記事では、リコーのコピー機について解説します。
日本の科学振興を目的に設立された理化学研究所の研究成果を事業化する部門会社として、1927年に「理化学興業株式会社」が発足しました。1936年に同社の感光紙事業を継承・独立化させた「理研感光紙株式会社」が、現在のリコーの原点となっています。
その後、1950年代にカメラの大衆化に先駆けた商品「リコーフレックス」を発売し、1955年にはジアゾ式複写機の1号機として「リコピー101」を発売しました。
現在に至るまでのコア事業を1960年代に固めたキヤノンとは異なり、1950年代にはコア事業を固めたリコーは、その後もカメラと複写機(リコピー)をベースに成長・発展しています。
現在も日本国内のコピー機市場においては、シェア率1位の富士ゼロックス(現・富士フィルムビジネスイノベーション/シェア=約34%)に次いで、リコーが2位(約24%)となっています。
しかし、近年の「ペーパーレス化(プリントレス化)」や書類の「デジタル化」への対応は他社よりもやや遅れを取り、さらにシェア率維持(稼働率維持)のために、コピー機の低価格競争へ突き進んだ結果、シェアは高いものの利益率は低い状況へ陥っています。
また、事業の多角化を行っている他社に比べると、同社は「印刷」への事業依存度が高すぎる点などがネガティブ要因となり、事業改革がうまく進んでいない等と指摘されています。
その一方で、コピー機からの脱却を目指した新しい提案としてICT(Information and Communication Technology/情報通信技術)を活用したクラウドなどのソリューション分野に進出しており、今まで顧客に一番近かった販売店や事務機屋などが得意するオフィスのトータルサポートへと方向性を変えた点などは評価されています。
リコー製のコピー機は良くも悪くも「特徴がない」ことが最大の特徴となっています。
コピーや印刷環境を整える際に、尖った機能性や画質にこだわるあまり使い勝手が悪いなど、どのメーカーも様々な問題点を抱えていますが、リコーのコピー機においては、機能性や印字品質、保守性などにおいても秀でて良い点、悪い点がなく導入しやすい製品と言えます。
富士ゼロックス(現・富士フィルムビジネスイノベーション)の「Apeos(アペオス)」シリーズと、リコーのコピー機「IM」シリーズを比較すると、各速度帯でのラインアップ数は決して多くないものの、低速機と呼ばれる20枚機から、超高速機90枚機まで、幅広く製品を展開しています。
競合であるゼロックス及びキヤノンがそれぞれ統合文書ソフトとして「Docuworks(ドキュワークス)」と「imageWARE(イメージウエア)」を持っており、業務の効率化、ペーパーレス化、電子化などに対応しています。
一方のリコーも「Ridoc(リドック)」とよばれるドキュメント管理ソフトを持っていますが、機能面では上記2社よりもやや劣っている印象を受けます。
現在、カウンター料金の相場はモノクロ1円/枚~、カラー10円/枚~が一般的な相場となっていますが、リコーはモノクロ1.2円/枚~、カラー12円/枚~と相場より僅かに高い価格設定となっています。
コピー機本体の価格は、印刷ボリューム(月間印刷枚数)や導入台数、相見積もりの有無など、複数の要素で価格が決定されますが、大手コピー機メーカーの中では良心的と言える金額設定となっています。
リコーは自社の導入事例をサイト上で公開しています。業種としては、製造業、印刷業、金融機関、学校と幅広い導入実績を持っており、導入先も大企業から中小規模の企業までと様々です。
また、近年では複合機単体での提案ではなく、ICTソリューションが多くなっています。
▼業種別の導入事例(一部)
出典:リコー「導入事例」
リコー製のコピー機は、大企業から中小企業まで幅広く導入されており、初めてコピー機を導入する際には選定の候補に入れても良いでしょう。特に、以下の2点に該当する企業におすすめです。
リコー製品に限った場合ではありませんが、月間の印刷枚数が多い場合は、コピー機のカウンターチャージ料金(カウンター料金=保守代込みの印刷料金)を安くしてもらえる可能性があります。
また、モノクロ複合機(コピー機)は分速90枚の印刷が可能な機器もラインアップとして揃えているため、大量印刷を素早く行いたい現場などでは検討の余地があるでしょう。
印刷やコピー、FAXなど基本的な機能を求めている場合、リコーのコピー機は“クセ”がなく使い勝手が良いため、選定機器としておすすめできます。
富士フイルム(富士ゼロックス)、キヤノンと比べて機器本体が安いことも、おすすめできるポイントです。
すでに、富士フィルムビジネスイノベーション(旧・富士ゼロックス)やキヤノンの製品を導入し、各社の文書管理システムを活用している場合は、電子化した文書の管理・使用はできないため、リコー製品へ切り替えることは難しいと言えます。
その他、印刷枚数が月間5,000枚未満(一日あたり200枚程度)の場合は、リコー製のコピー機ではスペックオーバーとなってしまいます。印刷枚数の多くない企業では、プリンターをベースとした複合機などを導入するか、プリンターとFAXを個別に用意する方が省スペース化、コスト削減に繋がります。
今回の記事では、リコーの複合機について紹介しました。記事の内容を簡単にまとめると以下の通りです。