Published at2021年11月10日
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理想科学(RISO)の「オルフィス」「リソグラフ」は、一般的なコピー機・複合機とはジャンルが違います。
北村豊貴
ただ、その分「どんな現場なら得をするのか」「逆に向いていないのはどんな使い方か」がハッキリ分かれます。
この記事では、オルフィスとリソグラフの違い、価格の目安、メリット・デメリットを整理して、自社に合うかどうかの判断材料をまとめます。
| この記事の監修者 北村 豊貴 Atsuki Kitamura ![]() |
OA機器販売店で複合機営業を担当し、中小企業から大手法人まで数百社以上の契約・導入を経験。 業界の課題解決を志し、2023年「コピー機価格診断ドットコム」の立ち上げを機に、見積診断や価格交渉を開始。 これまでに累計140社の価格診断を実施(2025年9月現在)。営業現場で培った実務ノウハウと、金融・OA機器メディアでの執筆実績を基に、透明性あるコピー機導入とコスト削減を支援している。 |
目次
理想科学工業(RISO)は、一般的なオフィス向けコピー機メーカーとは異なり、「同じ原稿を大量・高速・低コストで印刷する」用途に特化した製品を展開する専門メーカーです。
主力製品である高速インクジェットプリンター「オルフィス」と、デジタル印刷機(輪転機)「リソグラフ」は、学校・官公庁・企業の帳票印刷やチラシ作成など、大量印刷が日常的に発生する現場で多く採用されています。
北村豊貴
理想科学の製品は大きく分けて、「高速インクジェットプリンター(オルフィス)」と「デジタル印刷機(リソグラフ)」の2つに分類されます。いずれも高速・低コストを特徴としており、用途によって使い分けられています。

出典:理想科学工業
オルフィスは、インクジェット方式を採用した高速カラープリンターです。2003年に初代機が発売されて以来、進化を続けています。
現在の主力シリーズは「GLシリーズ(最上位モデル)」と「FTシリーズ(スタンダードモデル)」の2つです。GLシリーズは世界最速165枚/分のプリント速度を実現し、FTシリーズは140枚/分の高速性と経済性を両立しています。
印刷コストは、GLシリーズがフルカラー1.51円/枚・モノクロ0.53円/枚、FTシリーズがフルカラー1.55円/枚・モノクロ0.43円/枚です。
なお、オルフィスは保守契約を結ぶことで、印刷枚数や使用状況に応じたメンテナンス・修理対応を受けられます。コピー機のカウンター保守に近い運用が可能な点も特徴ですが、契約形態は販売店やプランによって異なるため、事前確認が必要です。

出典:理想科学工業
リソグラフは、孔版印刷(ガリ版)の原理に理想科学独自の技術を融合させた高速デジタル印刷機です。1980年に初代機が発売されて以来、40年以上にわたり学校や官公庁を中心に広く使われています。
リソグラフは、まず印刷の元となる版(マスター)を作り、このマスターを印刷ドラムに巻き付けてプリントします。一度の製版で約4,000枚もの大量印刷が可能です。
ランニングコストは印刷枚数が多いほど下がり、条件次第では1枚あたり1円以下での印刷も可能です。2ドラム機(MHシリーズ)なら2色を同時に印刷でき、一般的なオフィス用紙はもちろん、ざら紙、厚紙、色紙、封筒、のし紙など、さまざまな紙質・厚さの用紙に対応しています。
なお、リソグラフはカウンター保守には対応していません。オルフィスのような継続的なカウンター保守を希望する場合は注意が必要です。
| 印刷方式 | 対応カラー | 印刷速度 | 印刷コスト(目安) | 適した用途 | 画質 | |
| オルフィス | インクジェット方式 | フルカラー | 140~165枚/分 | カラー1.51円~ モノクロ0.43円~ |
フルカラー印刷 多様な印刷物 |
高解像度 階調表現に優れる |
| リソグラフ | 孔版印刷方式 | 単色または2色 | 最高190枚/分 | 単色 約0.15円~ 2色 約0.17円~ |
同一原稿の大量印刷 | 版画風の風合い(写真等は不向き) |
※印刷コストは印刷条件等により変動します。リソグラフの印刷コストは、1製版あたりの大量印刷時です。
北村豊貴
理想科学のオルフィスやリソグラフは、一般的なコピー機と比較して独自の特徴を持っています。
ここでは、導入を検討する際に知っておくべきメリットとデメリットを紹介します。

出典:理想科学工業
チラシなど同一内容の資料を短時間で大量に印刷する場合、一般的なコピー機よりも早く印刷できることが最大の強みです。
例えば、A4カラー印刷(片面印刷)を1,000枚行う場合、一般的な40枚機(40ppm)のカラープリンターなどでは約25分の印刷時間を要しますが、最上位クラスの「オルフィスGL9730プレミアム」であれば約6分程度で印刷が完了します。
現在、コピー機のカウンター料金の相場は、モノクロ1円/枚~、カラー10円/枚~が一般的です。
オルフィスGLシリーズは、カラー印刷は約1.51円/枚、モノクロ印刷は約0.53円/枚(ともにメーカー公称値)となっており、大量に印刷を行う現場では、業務用コピー機で印刷するよりも圧倒的な印刷コストの削減効果を期待できます。
リソグラフはさらに低コストで、単色印刷なら1枚あたり1円以下(大量印刷時)を実現しています。
宇宙人
北村豊貴

出典:理想科学工業
同一画像をすばやく・大量に印刷することを得意としている反面、異なる画像を印刷する場合は、印刷にかかる時間と印刷コストが上がってしまいます。これは大きな弱みと言えるでしょう。
一般的なコピー機に比べるとコピー機能やスキャン機能は必要最低限の仕様となっています。
オルフィスは印刷(プリント)に特化した機器であり、高精細な印刷は可能ですが、スキャン解像度や原稿読み取り性能は大手コピー機メーカーの複合機に及びません。
こちらでは理想科学製品の導入に向いている企業を2点紹介します。
チラシなどの大量印刷を行う現場では、月間の印刷枚数は数万枚にも及びます。コピー機での印刷も可能ですが、圧倒的に低コストかつ短時間で印刷できるのは「印刷機」であるオルフィスやリソグラフです。
すでにコピー機を導入している現場などでは、大量印刷用のセカンド機(負荷分散機)としても使用できるため、印刷環境の改善に役立ちます。
帳票など、決まった書式を大量に印刷する現場でも、印刷機であるオルフィスやリソグラフは役立ちます。レーザープリンターやコピー機などでは、出力までに時間の掛かるウォームアップタイムが気になりますが、印刷機であれば時間を気にせず大量の印刷を短時間で行えます。
ここからは理想科学の製品導入に不向きな企業を紹介します。
印字品質やコピー画質に拘りがある場合、理想科学の製品導入はやや不向きと言えるでしょう。
一般的に印刷機に分類される理想科学の製品は、大手コピー機メーカーに比べるとスペック面では劣ります。正確なコピーを行う必要がある建築などの現場には不向きです。
理想科学のオルフィスは、本体が大きく一般的なコピー機と同等かそれ以上の大きさです。個人事業主やSOHOなどでは、スペース的な点において設置に向いているとは言えません。
個人事業主やSOHOなどの環境下で大量印刷を行う場合は、自社で機器を揃えるのではなく、オンデマンドなどの外部発注を行った方がコスト的なメリットを出せるでしょう。
個人事業主やSOHOからは、コスパに優れ、かつ設置面積もあまり必要としないシャープや京セラの複合機が人気です。
理想科学では、自社の導入事例を紹介しています。印刷機だけに、その他のコピー機メーカーと比べると、ITソリューション系は少ないものの、「印刷作業時間の軽減」「低コストによるカラー化」などをメインに紹介しています。
▼業種別の導入事例(一部)
出典:理想科学「導入事例」
北村豊貴
用途が明確な現場では大きなコスト削減と業務効率化が期待できます。
一方で、コピー・スキャン品質を重視する業務や、限られたスペースで多用途に使いたいオフィス環境では、大手コピー機メーカーの複合機の方が適しているケースも少なくありません。
北村豊貴

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